今回は、サプリメントなどでも身近に摂取できるビタミン、それについてお話ししたいと思います。
まずビタミンというものは、体内で起きる様々な代謝などの化学反応の手助けをし、体の機能の調節や維持をします。
人体に必須のビタミンは13種類で、それらは性質により、脂溶性のビタミンと水溶性のビタミンにわかれます。
脂溶性のビタミンには、ビタミンA・D・K・Eの4種類です。これらは体内に蓄積するので多く摂り過ぎると過剰症があります。
水溶性のビタミンはそれ以外の9種類(ビタミンB1・ビタミンB2・ナイアシン・ビタミンB6・ビタミンB12・葉酸・パントテン酸・ビオチン・ビタミンC)です。これらは肝機能・腎機能が正常であれば、余剰分は排泄されますので体内にはあまり蓄積はされません。
■ビタミンA
目にいいビタミンとして知られているビタミンAは、他にも免疫を維持する役目があります。足りないと夜盲症といって夜に見えにくくなったり、光に過敏になったりします。また、過剰だと頭痛や吐き気、胎児異常などがあらわれます。
そんなビタミンAの多く含まれている食品は、レバーやうなぎ、銀ダラ、モロヘイヤ、にんじんなどです。
■ビタミンD
骨や歯を作るビタミンです。また筋力の維持もします。足りなければ骨軟化症やくる病になり、また過剰であれば、高カルシウム血症、腎機能障害をひき起こします。
そんなビタミンDの多く含まれている食品は、サケ、さんま、しらす、きくらげなどです。
■ビタミンE
抗酸化作用の血管や細胞の老化防止や美肌効果のあるこのビタミンは不足すると末端の血行不良や動脈硬化を起こしてしまいます。過剰症で骨粗しょう症になるリスクがあることが近年わかりました。
そんなビタミンEの多く含まれている食品は、うなぎ、かぼちゃ、アーモンド、モロヘイヤ、ひまわり油などです。
■ビタミンK
このビタミンは骨の再石灰化や血液凝固作用を持ちます。不足すると骨折しやすくなったり、出血時などに血が固まりにくくなってしまいます。
そんなビタミンKの多く含まれている食品は、あしたば、納豆、つるむらさき、菜の花、おかひじきなどです。
■ビタミンB1
このビタミンは疲労の回復作用や、精神を安定させる作用があります。このビタミンが不足すると、食欲不振になったり、脚気になったり、精神的に不安定になったりします。現在のジャンクフードはこのビタミンB1が添加されていることが多く、昔の「カップラーメンばかり食べていたら脚気になった」というのは現在はあまりみられません。
そんなビタミンB1の多く含まれている食品は、うなぎ、豚肉、玄米、大豆などです。
■ビタミンB2
このビタミンは脂質の代謝や口内炎の予防、皮膚、髪、爪、歯を健康に保つ作用があります。不足すると口内炎になったり、皮膚炎や成長障害になります。ちなみに栄養ドリンクを摂った後に尿が濃い黄色になることがありますが、それはこのビタミンB2の色によるものです。
そんなビタミンB2が多く含まれている食品は、レバー、さんま、ブリ、鶏卵、納豆、モロヘイヤなどです。
■ナイアシン
美肌効果や血行を促進してくれるビタミンです。またアルコールやアセトアルデヒドを分解する二日酔い防止といった効果もあります。欠乏するとペラグラという皮膚炎や神経障害、下痢などを起こします。日本のペラグラ患者の多くはアルコール依存症の方です。
そんなナイアシンが多く含まれている食品は、たらこ、カツオ、鶏むね肉、レバー、本しめじなどです。
■ビタミンB6
タンパク質をエネルギーに変える時に使われますので、たんぱく質を多く摂る人はたくさん必要です。また皮膚や粘膜を正常に維持することもしています。不足すると、月経前症候群になりやすいことが近年わかってきました。
そんなビタミンB6が多く含まれている食品は、カツオ、さんま、豚肉、鶏ささみ、バナナなどです。
■ビタミンB12
赤血球の生産を助けます。またたんぱく質や脂肪の代謝に関与しており、神経を正常に保つ働きもあります。不足すると悪性貧血や神経系の障害がおこることもあります。
そんなビタミンB12が多く含まれている食品は、レバー、サンマ、あさり、牡蠣などです。
■葉酸
DNAやRNAなどの核酸の合成や赤血球の生産を助けるビタミンです。細胞分裂にも関係します。特に胎児にとっては大切なビタミンです。不足すると胎児の先天異常である神経管閉鎖障害のリスクが高まります。また口内炎や悪性貧血になることもあります。
そんな葉酸が多く含まれている食品は、菜の花、枝豆、モロヘイヤ、ブロッコリー、アボカドなどです。
■パントテン酸
免疫力の向上や、代謝に必要な酵素を補助する役目もあります。欠乏すると頭痛や疲労感などの症状が出ることもあります。
パントテン酸は広く食品に含まれていますが、特に多いのはレバー、子持ちカレイ、サケ、たらこです。
■ビオチン
ビオチンはビタミンHとも呼ばれ、筋肉痛をやわらげたり、皮膚や爪、髪の健康を維持します。不足すると皮膚炎やうつ症状、吐き気などをひき起こします。
そんなビオチンが多く含まれている食品は、レバー、大豆、鶏卵などです。
■ビタミンC
ビタミンCはコラーゲンの合成や皮膚や粘膜を健康に保つ作用があります。また抗酸化作用があります。欠乏すると壊血病や皮膚炎、皮下出血、下痢、嘔吐などが起きます。たばこを吸っていると体内のこのビタミンが破壊されてしまいます。
そんなビタミンCが多く含まれている食品は、赤ピーマン、柿、菜の花、ブロッコリー、グレープフルーツ、いちごなどです。
■ビタミンを処方する場合
病気の治療のためにビタミンが必要と医師が判断する場合のみ、処方薬のビタミン剤が処方されます。美肌のためや、しみの予防といった美容目的、または体調を整えたい、お酒を飲むからタバコを吸うから不足するビタミン剤が欲しいという理由では処方できません。その場合は市販のサプリメントをご利用ください。市販のサプリメントでも処方薬と同量の有効成分を含有している場合もあります。
■資料
脂溶性ビタミンについて、厚労省の情報です。(pdf)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042635.pdf
ビタミンは体の代謝や生成も助けてくれる大切なものです。市販のサプリメントも様々出ていますので、手に入りやすくなっています。文献や資料も豊富で、色々な説がありますが、惑わされず、自分の体に必要なビタミンを補っていきたいですね。
早稲田