新年度がスタートし、学校や会社などで健康診断を受ける方も多いと思います。
今回は健康診断で「高尿酸血症」「痛風」と言われた方向けのコラムを掲載してみました。
<プリン体と尿酸について>
プリン体は、DNA(デオキシリボ核酸)やRNA(リボ核酸)といった細胞の核の中にある核酸などを構成する
成分のことを言います。
このプリン体がからだの中で分解されると「尿酸」が出来上がります。
血液の中に尿酸が多くなりすぎている状態を「高尿酸血症」と言い、
尿酸はそれ以上分解されないので最終的にはからだにたまってしまい痛風が起きます。
<痛風とは?>
増えすぎた尿酸は尿酸塩(尿酸の結晶)として関節などにたまり、激しい痛みを伴う炎症を起こします。
これがいわゆる「痛風」という症状になります。
痛風は9割以上が成人男性に発症しますが、痛風の背景には
持続する高尿酸血症があることから、高尿酸血症の診断基準が以下のように定められています。
【高尿酸血症の定義】
正常:血清尿酸値 7.0㎎/dL以下(年齢・性別を問わず)
高尿酸血症:血清尿酸値 7.0㎎/dLを超える場合(年齢・性別を問わず)
では、血液中に尿酸が増える原因はどのようなものがあるでしょうか?
- 体内で尿酸が多く作られてしまった場合
偏った食事、肥満など先天性の代謝異常、造血器疾患、無酸素運動、アルコール過剰摂取
尿酸の排泄が悪い場合
2.遺伝的体質、無酸素運動、脱水、アルコール過剰摂取、肥満、腎不全など
3.①と②の両方
このような状態を放っておくと、痛風だけでなく脳血管障害や心疾患などの重大な病気を合併する危険があるので
早めに治療をしていくことが大切です。
<痛風の治療>
治療は薬物でのコントロールが中心となりますが、生活習慣の修正も大切です!
- 肥満の解消
食事例
主菜:魚介類、肉類、卵、大豆・大豆製品などの中からメインを1品に
副菜:野菜、海藻、きのこ、芋、豆類などがメインのおかずは毎食2品以上そろえるようにしましょう。
主食:ごはん、パン、麺類は毎食適量を。夜遅い場合は控えめに!
汁物:塩分の取り過ぎを防ぐためにも1日1杯まで
栄養バランスの良い食事を心がけ、ウォーキングや水泳などの適度な有酸素運動をしましょう。
- 水分をじゅうぶんとりましょう
1日の尿量が2リットル以上になるのが目標です。
その時ジュースやアルコール類ではなく、水やお茶を飲むようにしましょう。
水分をしっかりとって、尿量を増やすようにしましょう。
- アルコール類は控えましょう
アルコール自体に肝臓での尿酸酸性を亢進させ、腎臓からの排泄を低下させる作用があります。
適量の範囲で飲んでいて尿酸値が高い場合には、1~2日飲まない日をつくるようにしてみましょう。
【1日のアルコールの適量】
・ビールロング缶1本 500㎖
・日本酒1合
・ワイン1/3本
・ウイスキー シングル 2杯
- プリン体をとりすぎないようにしましょう
尿酸値の上昇については、食事からの影響より体内での合成や排泄の影響が大きいことが明らかになってきましたが、
プリン体の多いものは連続して大量に食べないようにしましょう。
痛風(高尿酸血症)は症状が出現する前からの対策が大切です。
当クリニックでは血液検査を行うことにより、予防や治療を開始することができます。
お気軽にお問合せください。
(作成:助川クリニック 看護師 大塚)
参考文献:東京医科大学 内科学第三講座 就任教授 小田原 雅人
聖マリアンナ医科大学 栄養部部長 川島 由起子 監修
MSD株式会社パンフレット 「痛風・高尿酸血症と言われたら」