コラム

細菌性食中毒について【その2】2014/8/28

■家庭で気を付けるべき食中毒予防のポイント6つ

1.食品の購入時 ・新鮮なものを購入する
・消費期限をしっかり確認する
・購入した商品は汁が漏れないようにビニール等で個別に包んで持ち帰る
・冷蔵や冷凍などの食品はなるべく最後に購入し、あれば保冷材などを使用して、短時間で持ち帰る

2.家庭での保存
・持ち帰ったらすぐに冷蔵・冷凍庫に入れる
・冷蔵・冷凍庫のつめすぎはNG(7割が目安)
・冷蔵は10℃以下、冷凍は-15℃ほどに維持を
・肉や魚などはビニール袋や容器に入れ、汁などがほかの食品と接触しないようにする

3.準備
・肉、魚、卵などを取り扱う際には、前後で必ずしっかりとした手洗いを
・肉や魚などの汁が、ほかの食品に触れないようにする
・包装してある野菜などもよく洗う
・生の肉や魚を切った後は、調理器具を洗い、熱湯をかけて、ほかの食品に使う
・冷凍食品などを調理台などに放置することをやめる
・包丁、まな板などの調理器具、食器、ふきん、たわし、スポンジなどは使った後にすぐ洗剤と流水でよく洗う。ふきんは漂白剤につけたり、たわしやスポンジは煮沸消毒も有効です

4.調理
・加熱調理の食品は十分に加熱を
・調理を途中で中断する時には、そのまま室温に放置せず、冷蔵庫に入れる。再び加熱する時は十分に加熱する
・電子レンジを使用する際は、内部まできちんと熱が入るように気を付ける

5.食事
・食事前に手洗いを
・清潔な器具、食器を使用
・調理後の食品は室温に長く放置しない

6.残った食品の管理
・残った食品を扱う前にも手洗いを
・清潔な器具、食器を使って保存を
・残った食品は早く冷えるように浅い容器に小分けにする
・時間が経ち過ぎたものは捨てる
・温め直す際にはしっかり加熱を。目安は75℃以上
・味がおかしい、匂いがおかしいなどがあったら、食べずにすぐ捨てる

参照元 (厚生労働省 食中毒のページ) 
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/index.html  
またHACCP(危害分析重要管理点)についても載っています


細菌性食中毒について【その1】2014/8/28

少しずつ涼しい日も増えてきましたが、今回はまだまだ怖い食中毒についてです。
食中毒は、細菌性、ウィルス性、自然毒性、その他(化学性、寄生虫)のものに分かれますが、今回は細菌性の食中毒について話を致します。

細菌性食中毒について

■食中毒の原因菌による分類
1.ブドウ球菌
・黄色ブドウ球菌(A型が多い)が原因菌
・毒素型なので、食前加熱は無効
・食品中で産出(にぎりめし、かまぼこ、シュークリームなどの乳製品)
・汚染源は料理人の手の切り傷や鼻など。乾燥にも強い
・5℃以下に保存すれば予防可能
・ほかに予防は手指の洗浄、調理器具の殺菌・洗浄、手荒れや化膿巣ある人は直接食品に触れない、など
・潜伏期間は1-6時間(平均3時間)ととても早い
・発熱なし
・激しい嘔吐や下痢が見られる
・抗菌薬は無効→輸液などの対症療法

2.ボツリヌス菌
・ボツリヌス中毒は、一般的には食品中でボツリヌス菌が増殖する際に産生する菌体外毒素を食品と一緒に摂取して発症する
・ボツリヌス菌は熱に弱く、80℃30分加熱で死滅する
・病原菌は広く土壌に分布
・いずし、真空パック製品(ソーセージなど)、レトルト製品、真空パックのからし蓮根による発生が多い
・潜伏期間は12-36時間
・症状は神経症状(初期には、物が二重に見える、散瞳、眼瞼下垂、めまい、悪心など)と少ない消化器症状(腹部膨満、下痢、便秘など)にわけられる
・発熱なし
・神経症状の増悪で、呼吸筋麻痺による呼吸困難などで死に至る
・意識は最後まで清明
・フグ毒と同じく適切な呼吸管理が重要 
・抗毒血清が有効
・ボツリヌス菌に汚染されたハチミツが発見されており、1歳未満にはハチミツを与えてはいけない
・予防としては、加熱する、真空パック食品やレトルト食品でパックが膨張しているものは食べない、などが必要

3.腸管出血性大腸菌
・毒素が原因で腸に炎症を起こす
・O-157もこれに分類される
・感染源は肉(牛、豚など)と糞による二次感染の食品、そして未殺菌乳、野菜、リンゴジュース、ヨーグルト、浅漬けなど
・熱に弱く、75℃1分間で死滅するなど、加熱が予防に役立つ
・潜伏期間は長く4-8日ほど
・健康な成人では軽い下痢のみが多いが、乳幼児や基礎疾患を有する高齢者では重篤になりやすい
・腹痛を伴う頻回の水様性下痢で始まり、その後血便になる
・下痢開始から7日ごろから溶血性貧血、血小板減少をみる
・腎機能の低下をみる
・約10%に溶血性尿毒症症候群が合併する
・抗菌薬が有効
・二次感染の予防のため、手洗い、消毒、食品を扱う時に注意する

4.ウェルシュ菌
・A型ウェルシュ菌が食中毒をひき起す
・健康な人間や動物の腸管、土壌に広く分布している
・冷やし中華、二日目のカレーなど、一度加熱調理して冷却保存したものや、密封容器に入れた肉料理加工品から発生することが多い
・ただし発症には高い菌量が必要
・20-50℃が増殖可能範囲
・確実な加熱殺菌と増殖防止が予防になる→食品保存は10℃以下、または55℃以上で行い、速やかな菌の増殖防止が必要
・潜伏期間は8-24時間
・一般的に症状は軽症で、一過性の水様性下痢、腹部膨満感など
・発熱や嘔吐はまれ
・予後は良好なので対症療法で十分

5.腸炎ビブリオ
・海水中で広く分布
・夏場に多い 寒冷地帯の分布はまれ(10℃以下では増殖不可能)
・魚介類の生食で感染が多い。ほかに漬物や、汚染された調理器具からの二次感染もあり
・潜伏期は6-20時間(平均13時間)
・発熱(38℃以上もあり)、激しい下痢、腹痛がみられる
・2-3日で回復する
・対症療法のみで回復することが多いが、症状がひどいときは抗菌薬を内服する
・予防は、魚介類は新鮮なものでも真水でよく洗う、短時間でも冷蔵庫に保存して菌の増殖を抑える、60℃10分間の加熱で死滅する。二次汚染に注意する

6.サルモネラ
・夏季に多発するが、冬にもある
・タンパク質で増殖する
・感染源は食肉類、卵(特に鶏卵)、マヨネーズ、ペット(犬、猫、ミドリガメ)
・潜伏期は6-48時間
・急激な発熱(38℃以上が多い)、下痢(粘性、水様で緑色、1日5-6回)、腹痛、悪心
・嘔吐
・若年者ほど症状は激しい
・対症療法を行うが、重症の場合は抗菌薬を内服する
・予防は十分な加熱(75℃以上、1分以上)二次感染にも注意

7.カンピロバクター
・広く家畜、家禽類の腸管に生息し、食肉(特に鶏肉)内臓や、生乳(海外)などから感染。また糞便からの接触感染もある。
・潜伏期間は長く2-7日
・症状は下痢(水様性腐敗臭下痢)、腹痛、嘔吐、発熱、頭痛などで、血便を長く続くことが多い(特に小児)
・一部の抗菌薬が有効
・予防は調理器具の熱湯消毒と乾燥、二次汚染を防ぐため、ほかの食品と接触させない、十分な加熱(65℃以上、数分間)を行う

8.エルシニア
・低温増殖性(5℃でも発育)で長期の冷蔵庫内での低温保存は危険
・糞便で汚染された生の食品(食肉、畜産品)、水やペットを介して感染 豚肉、スライスハム、店舗のまな板などから検出されることが多い
・潜伏期間は数日
・腹痛、発熱(39℃以上)、下痢が主症状
・早期に抗生物質を内服する
・予防は中心温度が70℃以上になるように加熱すること

9.セレウス菌
・土壌などの自然界に広く分布し、毒素を生成する
・芽胞は90℃60分の加熱でも死滅しないうえ、家庭用消毒薬も無効
・症状には嘔吐型と下痢型がある
・嘔吐型の原因食品はピラフ、スパゲティなど
・下痢型は食肉、野菜、スープ、弁当など
・予防は麺類、ご飯ものの作り置きをしない、穀物の食品は調理後は8度以下、または55℃以上で保存する、保存期間はなるべく短くする等


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